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第4回 土曜サロン

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第4回土曜サロンが7月7日、3号館2階学習ルームにて行われました。今回は本校生徒55名に加えて、中学生や保護者併せて63名でのサロンとなりました。

今回のテーマは「幾何学模様の不思議」というテーマです。

 まず初めに、今回のテーマの担当者である長木先生から、「幾何学模様とは?」との発問がありました。生徒からは、いろいろな図形の組み合わせであるとか、身近にある模様を示すなど意見が出されました。数学的には「三角形、四角形、六角形などの多角形や円、楕円、直線などの単純な図形を部品として、それに平行移動、反転、回転、色の変化、拡大・縮小、分割などの操作を加えながら連続して組み合わせ配列を展開してつくった模様」で定義されるとし、具体例として、植物模様や文字模様、さらには、日本の伝統的な柄模様が示されました。

次に、各グループにスピログラフ(デザイン定規)が配られ、実際に模様を描いて、その幾何学模様について数学的な考察を求められました。 

問 右の図形は、スピログラフのどの外側の大円と小円盤を組み合わせればよいか?数学的に考察せよ。 

 生徒たちは、スピログラフを使って実際に作図をしながら数学的な解析を試みました。途中、「花弁の数と使う定規の関係」や「小円盤の穴と模様の関係」に着目すると良いとのアドバイスを受け、その数学的な解析に拍車がかかりました。この段階で、多くのグループが「大円と小円盤の歯の数が模様に関係している」ことに気づいていました。 

 【解説】外側の大円(歯の数105)と小円盤(歯の数63)で作図をすると,花びらが5つの図になる。また、歯数の比率が5:3となっており、5は花弁の数を表している。では、3は何を表しているのだろうか? 

 実は、大円と小円盤の歯数の最小公倍数は315、最大公約数は21となっている。これは、大円と円盤の歯車が315回噛み合うと,穴に置いたペン先が最初の位置に戻ることを示している。すなわち、歯車が315回(最小公倍数)噛み合うまでの間の,小円盤(歯の数63)の回転数は、315÷63 = 5(回転)。これが花びらの数(5回は大円と小円盤が最接近する)で、(花びらの数)=(小円盤の自転回数)となる。 

 また、歯車が315回(最小公倍数)噛み合うまでの間に,小円盤の大円(歯の数105)上での回転数は、315÷105=3(回転)すなわち、(小円盤の公転回数)となり、スピログラフの模様の形は、大円と小円盤の歯数の比で決まることになる。 

 身近なデザインから、幾何学模様を見出し、それに対して数学的考察を試みることで、いろいろな世界を見出すことができ、それこそが数学を学習する意義であるとまとめられました。 

 四方先生からは、スピログラフで描かれた図形を上にずらすことで「螺旋構造」得られ、これがDNA構造につながっているとの話があり、医学の世界では、アミノ酸の構造を解析し、その形のずれから病巣を発見するところまで進んでいるとの指摘がありました。「その基本的な考えは、幾何学模様を数学的に考察することから始まったと」と締めくくられました。 

 次回の第5回土曜サロンは、9月29日(土)14:00から「絶滅の謎を解き明かせ!地球捜査班」というテーマで行われます。