
8月5日から7日にかけて、第1学年SSクラスの34名が参加した「スーパーサイエンスツアー」が実施されました。
<スーパーサイエンスツアー1日目>
立命館大学びわこ・くさつキャンパス
午前中は、立命館大学びわこ・くさつキャンパスを訪れました。生命科学部生命情報学科の天野晃先生による「心臓と生体シミュレーション」の講義を受講し、心疾患の解決に向けて心臓の動きをコンピューター上で再現する研究について学びました。生物学だけでなく、物理や数学、化学といった幅広い学問の知識を統合してこそ実現できる研究だというお話に、生徒たちは深く引き込まれていました。特に「10年後を見据えて学ぼう」という先生のメッセージが印象に残ったようです。講義後には多くの質問も飛び交い、生徒たちの関心の高さが表れていました。昼食を大学の学食でとり、その後は立命館大の学生さんたちにキャンパスツアーをして頂きました。研究施設の紹介だけでなく、大学生活についても話を聞きながら、学生ならではの視点で案内していただき、生徒たちは楽しそうに交流していました。

オムロン京都太陽株式会社での学び
続いて午後に訪れたのは、障がい者雇用に積極的に取り組んでいるオムロン京都太陽株式会社です。 生徒たちは障がい者体験を通じて、日常生活で当たり前に行っていることが、障がいのある方にとってはどれほど工夫を要するものなのかを体感しました。その後、実際に働く現場を見学。多様な人々が工夫を重ね、互いに支え合いながら働く姿を目にし、「工夫次第で誰もが同じように活躍できる」という大切な気づきを得ることができました。普段は「最先端の科学技術」に注目しがちな生徒たちですが、この見学を通じて、人と人とのつながりや職場環境の重要性にも目を向けるなど、視野が広げられたようです。


夜間研修での振り返り
夜は一日の活動をグループごとに振り返り、それぞれの代表が全体に向けて報告を行いました。立命館大学での学びやオムロン京都太陽株式会社での気づきを共有する中で、仲間の視点の違いを知ることができ、考えを深める時間となりました。

<スーパーサイエンスツアー2日目>
大阪市自然史博物館での学習 午前中に訪れたのは大阪市自然史博物館です。ここでは地球の誕生から現在に至るまでの壮大な歴史や、生物の進化の過程をたどる展示をじっくりと見学しました。恐竜の化石展示や関西地域に生息する動植物の紹介など、身近なものからスケールの大きなものまで幅広く取り扱われており、生徒たちは自然界の多様性や環境保護の大切さを改めて感じ取っていました。普段の授業では断片的に学ぶことが多い分野を、体系的に学べる貴重な機会となりました。


世界最先端の研究拠点・SPring-8/SACLA
午後は兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」とX線自由電子レーザー施設「SACLA」を訪問しました。まず映像資料と研究員の方の説明を通じて、放射光の仕組みや活用事例について学習。その後、実際の施設に入り、加速器やビームラインを間近で見学しました。SPring-8の巨大な加速器のスケールには誰もが圧倒され、各ビームラインで進められている多彩な研究分野に強い関心を寄せていました。特にJAXAが小惑星探査で持ち帰った砂の分析を行っている現場の話は、生徒たちにとってニュースや教科書の世界が一気に現実の研究に結びつく瞬間となったようです。さらに、SACLAでは電子銃や線形加速器のそばを歩きながら、アンジュレータなど高度な装置を直接目にすることができ、世界最先端の科学技術の迫力を肌で感じ取ることができました。





夜間研修でのまとめと共有
夜の研修時間には、1日の活動をグループで振り返りました。仲間と意見を交わす中で、自分では気づかなかった視点を取り入れることができ、学びをさらに深める機会となりました。お互いの考えや感じたことを共有し合ってこの日を締めくくりました。

<スーパーサイエンスツアー3日目>
生徒研究発表会での交流
この発表会は、全国のSSH指定校の生徒がそれぞれの研究成果を発表し合い、科学的な交流を深める場です。本校からも3年生の代表生徒が「ダルマメダカは警戒行動をしにくい?!」というテーマで研究発表を行いました。会場では、同年代の仲間たちが互いに質問や意見を交わし合い、活発な議論が繰り広げられていました。他校の発表を聞くことで刺激を受け、自分たちの研究をさらに磨き上げたいという意欲を新たにした様子がうかがえました。

3日間を振り返って
今回のツアーでは、大学・企業・研究施設を訪問し、最先端の研究や社会の取り組みに触れることができました。生徒たちはそれぞれの場で真剣に耳を傾け、積極的に質問する姿勢を見せていました。その態度に対して、訪問先の先生方や職員の方々から「とても熱心で素晴らしい」「質問が多く、関心の高さが伝わった」といった好評の言葉もいただきました。3日間の学びを通じて、生徒たちは科学に対する視野を広げると同時に、自らの可能性に挑戦する力を養うことができたようです。今後もこの経験を糧に、さらに成長していってほしいと願っています。