
2025年7月29日~30日の2日間、アントレプレナーシップ講座の一環として石川県七尾市と輪島市にて、アントレプレナーシップ研修を実施しました。この研修の目的は、能登半島地震で大きな被害を受けた地域を実際に訪れ、復興に向けたプランを自らの視点で考えることです。起業家(アントレプレナー)のような発想で、地域課題に向き合う力を養うことを目指して実施しました。
7月29日は、七尾市に到着後すぐに市内を徒歩で見学しました。地震から1年半が経過した今もなお、修復中の建物が多く見られ、被害の大きさを目の当たりにした生徒たちは衝撃を受けていました。
続いて、御祓(みそぎ)地区コミュニティセンターで、七尾市地域おこし協力隊の花田さんと、センター館長の大谷内さんからお話を伺いました。花田さんは愛知県出身で、大学時代から能登を研究テーマとし、現在は地域おこし協力隊として七尾市で活動されています。印象的だったのは、「何かを選択する時、必ず責任が伴う。その時、あなたならどう選択するか?」という問いかけです。生徒たちは、たとえば避難所に感染症の疑いがある方が来た場合、あるいはペットを連れて避難してきた方への対応など、現実に起こりうる困難な状況を想定しながら、自分ならどう判断するかを真剣に考えました。
その後、生徒たちは近くの鳥居醤油店を訪問しました。歴史ある美しい建物は地震で大きな損傷を受けましたが、店主は能登産の原料にこだわり、時間をかけて丁寧に醤油を作り続けています。ものづくりへの誇りと地域への愛情が伝わる姿勢に、生徒たちは深く感銘を受け、手づくりの醤油をお土産として買い求めていました。
再びコミュニティセンターに戻り、花田さんから研修のまとめとしてお話をいただきました。「高校生に今できることは何か?」という問いに対し、「まずは関心を持ってほしい。そして、高校生が考える課題を、ぜひ能登の人々とも共有してほしい」と語ってくださいました。最後に館長の大谷内さんが口にされた「少しでも止まったら復興は止まる。どんな形でも動き続けなければならない」という言葉は、復興に関わる覚悟と日々の努力の重みを伝えるものでした。
震災の現場で地域の人々と直接ふれあい、その思いに触れることで、生徒たちは地域づくりや社会課題を“自分ごと”として捉える視点を育む貴重な一日となりました。
※この取組は名城大学MS-26学びのコミュニティ創出支援事業の支援を受けて実施しています。


