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名城サイエンスサロン1

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令和3年度第1回名城サイエンスサロンが4月22日に行われました。今回は、新型コロナ感染防止のため3号館2階学習ルームを会場として40名以内で行う予定でしたが、想定以上の参加申込があり急遽視聴覚教室も会場に加え、学習ルームからのオンライン配信で対応しました。

今回のテーマは「五割カタツムリのお話~極限の不思議~」です。

まず、今回の担当教員の梁川先生より、仏教の説話から次のような問題提起がありました。「カタツムリが天に向かって一生懸命昇っています。それはもう飽きることなく一歩一歩頑張って昇っていきます。そのカタツムリは前日に上った距離の残りの五割の距離を次の日に上り、さらにその残りの五割の距離を昇って行きました。これを何日も何日も繰り返していったのでした。」「さて、結局カタツムリはどうなったのでしょうか?」

各班での議論の結果、11班中1班が天に昇りついたと判断し、残りの10班は天には到達できなかったと判断しました。その後、担当教員から「お釈迦様はそのカタツムリの努力を認め、天に迎え入れました。」と説明がありました。多くの生徒は納得の行かない様子でしたが、いろいろな視点から考えてみようということで図形的な側面からのアプローチや数式によるアプローチなど様々なアイデアで説明を試みました。しかし、無限に続く数の和(無限等比級数)の考えは、高校1年生には困難だったようです。そこで、さらに視点を変えて、1/9,2/9,…,9/9という分数を小数に直すとどうなるのかという質問が出されました。議論の結果、0.9999999・・・・・・=1 などのような無限に続く循環小数が最後に分数で表されることを中学数学で説明できることを確認しました。さらに中学数学から一歩進んで等比数列の和や無限等比級数の考えを直感的に学びました。この考えは、高校3年で学ぶ「数学Ⅲ」の概念で、限りなく小さな和も極限の考えを使うとほぼ0に等しくなることを実感しました。このような議論の過程で、初項1/2、公比が1/2の無限等比級数が公式を使わなくても面積の考えを使って図で説明できることも分かりました。

最後に,本来なら数学Ⅲで履修する内容の無限等比級数も,ちょっとした発想の積み重ねで十分理解できる。公式から学ぶのではなく,既知の知識の積み重ねを意識することが大切であり,その学習の場の一つがサロンであると締めくくり終了しました。

次回の名城サイエンスサロンは,5月13日に行われます。スーパーサイエンスクラス3年生による、「記憶の不思議 ~脳のしくみ・勉強法~」です。